DynamoDBがJSONデータをサポートした
今月(2014年10月10日)のことですが、Amazon DynamoDBがいろいろアップデートしました:
その中でもJSONデータサポートは注目のアップデートです。
これは具体的にどういうことか説明します。
DynamoDBはスキーマレスのNoSQLです。
これまで、カラム(属性)には単一データまたはセット(重複を許さない配列)が格納できました。
しかしながら、入れ子構造は格納できませんでした。
JSONデータのサポートとは、この入れ子構造が取り扱えるようになったということです。
つまり、MongoDBのように、JSON形式のデータをそのままデータベースに格納できるようになったのです。
既存ODMライブラリに手を加えて対応させた
node.js向けのODMライブラリにはいくつかあります。
vogels はその中でもいい感じのライブラリです。
しかし残念ながら、あまり精力的にメンテナンスされてるとは言いがたく、今回のアップデートに対してもまだ対応していない様子です。
そこで、自分で対応させてみることにしました。
フォークしたものがこちらにあります:
いちおうプルリクしてありますが、マージされるのを待てません笑
vogelsの使い方
まずは基本的な使い方をドキュメントから引用してざっくり説明します。
次に、入れ子構造のデータを扱うための方法を説明します。
設定
AWS SDKのキーをファイルから設定します。
var vogels = require('vogels');
vogels.AWS.config.loadFromPath('credentials.json');
もちろん直接値を渡して設定もできます。
var vogels = require('vogels');
vogels.AWS.config.update({accessKeyId: 'AKID', secretAccessKey: 'SECRET'});
基本
データモデルの定義方法は以下のとおりです:
var Account = vogels.define('Account', function (schema) {
schema.String('email', {hashKey: true});
schema.String('name').required(); // name attribute is required
schema.Number('age'); // age is optional
schema.Date('created', {default: Date.now});
});
ハッシュとレンジキーを指定しての定義:
var BlogPost = vogels.define('Account', function (schema) {
schema.String('email', {hashKey: true});
schema.String('title', {rangeKey: true});
schema.String('content');
schema.StringSet('tags');
});
書き込み:
Account.create({email: 'foo@example.com', name: 'Foo Bar', age: 21}, function (err, acc) {
console.log('created account in DynamoDB', acc.get('email'));
});
読み込み:
Account.get('test@example.com', function (err, acc) {
console.log('got account', acc.get('email'));
});
簡単ですね!
クエリやセカンダリインデックスなどの使い方はドキュメントを参照してください。
入れ子構造の取り扱い方
ここからが本題です。
DynamoDBでは、MapとListという新しいデータ型を追加することで入れ子構造の格納を実現しています。
先述の通り、vogelsではスキーマを定義して、それに合わせたデータを出し入れします。
vogelsで入れ子構造を取り扱うには、このスキーマをMapとListを使用して定義します。
Map
MapはJavaScriptでいうオブジェクトです。まずは以下の例をみてください。
var Photo = vogels.define('Photo', function (schema) {
schema.String('userid', {hashKey: true});
schema.Map('location');
});
Photo.create({userid:'john', location: {name: "東京タワー", latitude:35.65858, longitude: 139.745433}}, console.log);
この例では、Photo
モデルのlocation
属性がMap
型として定義されています。
中身には、場所に関するデータが格納されています。
単純ですね!
もちろん、このlocation
の中身もスキーマで定義できます。
var Photo = vogels.define('Photo', function (schema) {
schema.String('userid', {hashKey: true});
schema.Map('location', function(schema) {
schema.String('name');
schema.String('latitude');
schema.String('longitude');
});
});
Mapの中に更にMapを格納することもできます。
Mapの中身のスキーマを定義しなかった場合、未定義となり制約は与えられず、自由なフォーマットのデータが格納できます。
List
ListはJavaScriptでいう配列です。使い方は以下のとおり。
var Photo = vogels.define('Photo', function (schema) {
schema.String('userid', {hashKey: true});
schema.List('likes');
});
Photo.create({userid:'john', likes: ['emily']}, console.log);
こちらも直感的ですね。
Listの各要素の形式が同じで尚且つMap型の場合は、以下のように要素のスキーマを定義できます。
var Photo = vogels.define('Photo', function (schema) {
schema.String('userid', {hashKey: true});
schema.List('likes', function(schema) {
schema.String('userid');
schema.Date('likedAt');
});
});
MongoDBとの併用はかなりイケてる?
JSON形式のドキュメントがそのまま格納できるDBMSとして、有名なのはMongoDBです。
今回のJSONサポートによって、DynamoDBはMongoDBと同じフォーマットでデータを取り扱えるようになりました。
これは、「併用しやすい」という事です。
併用すると何が嬉しいか、考えてみます。
DynamoDBは運用コストが低くスケーラビリティが高いのがウリのデータベースです。
その代わり、検索の柔軟性を犠牲にしています。
それに対してMongoDBは検索の柔軟性が高いのが強みです。
しかしながら、DaaSは価格が高いし自分で運用するのは大変です。
DynamoDBとMongoDBを併用することによって、互いの弱みを補い合えるかもしれません。
MongoDBを既に使っていた人にとっては、すごい良いニュースではないでしょうか。